メダカのエサの話
メダカ飼育にとって一番重要なのはやはりエサです。生まれた時からしっかりと栄養のあるエサを食べされる事により、成長のスピード、体系、体格までほとんどエサで決まります。またエサの食いつきでは体調変化、フンを見ることにより病気の有無も判断できますし、水質にまでも影響を与えます。
まずはメダカの一生と共にエサの大切さのお話をさせて頂きます。
生まれて間もない稚魚はあまり上手にエサを食べる事が出来ていませんが、しっかりと給餌をしましょう。実は生まれてから1か月程の給餌はとても大切で、この時に基本的な体型、体格が確立されます。1cm程のメダカはまだとても小さくて、やっとメダカらしさが出てくる頃ですが、しっかりとエサを食べて育っていると、実は体型はもう親メダカと同じ様になっています。お腹の膨らみ、尾筒の太さ、普通体型、ダルマ体系はこの時点で判断できます。ヒレはまだ小さく、ヒレ長などでは伸びていません。まずは小さい内から良く食べさせて、ふっくらしたメダカに育ててあげましょう。
1cmを越えたら次は産卵繁殖に向けたエサが重要になります。やはり高たんぱくのエサを中心に与えていきます。このサイズになってきますと給餌後メダカがフンをするのが容易に確認できます。フンの長さ太さに注目してください。フンが太くて短ければ消化が少し悪く栄養価が高いエサです。逆に長く細いフンの場合は、消化は良いが栄養が少なめなエサとなります。極端なハイカロリーなエサを与えてしますと、消化不良をおこして病気になります。低カロリー過ぎると栄養が足りず産卵できなくなりますので、市販のメダカ専用のエサを必ずあげるようにしましょう。産卵がスタートする頃のメダカのエサの量の目安は一度の給餌では1分程で食べきれる量を与えます。1日2回~3回2時間は間隔をあけ、エサを食べさせると栄養もたっぷりで、ぷくぷくとした体型になります。体表の粘膜もしっかりとした艶のある鱗になっていきます。
エサの浮上性についてはメダカのエサは浮上性がおすすめです。メダカの口は上向きについていますので、水面のエサを食べるのが得意です。特に生まれて間もないメダカの稚魚はまだ深く潜ることができない為浮上しているエサしか食べる事ができません。沈んでしまったエサは水質悪化の要素になりますので、食べ残しがある場合は取り除くようにしてください。産卵が始まる頃のメダカは沈んでしまったエサも水底をつついて食べます。個体差もありますが、それほど食べ残しを気にしなくて大丈夫です。
日本は四季があるので、エサのカロリーや動物性、植物性などその季節、水温、日当たりなどに考慮して、エサを選ぶのも良いです。3月~4月の春の水温が高くなってくる頃より、皆さんメダカのエサを与え始めますが、いきなり高カロリー、高たんぱくのエサを与えてしまいますと、消化不良や体表に脂肪の塊が出来てしまうので気を付けましょう。低カロリーなエサから与え、少しずつ量も多くしていき、食べて消化する機能を回復させてあげましょう。関東では4月の下旬の頃より産卵が始まります。5月のシーズンよりメダカのメスの産卵数も増え、毎日産卵できるようになります。
梅雨の時期になりますと雨や曇りの日が増え、水温も今までと違い低い日が続きます。この時はまたカロリーを抑え、なるべくメダカに負担の無いようにして下さい。梅雨明けの頃より春と同じ様に、エサの量等を調整してあげましょう。
夏になると高水温の日が続きます。メダカも実は暑すぎると夏バテをおこします。この時も無理に回数多く産卵数を増やそうとしますと、消化に負担があり、病気になったり水質悪化の原因にも繋がりますので、気を付けましょう。
10月の頃になりますと気温水温共に冬を感じさせる日も多くなります。ただしこの時期は意外に水温もありますので、冬越しに備えてなるべくエサを食べさせるようにしてください。
冬期の給餌ですが、ここが実が大きなポイントなります。メダカは冬眠すると言われたり、耳にした事があると思いますが、冬眠はしません。メダカは変温動物ですので、水温が体温となります。冬季であっても日中日が良くあったり、水温が上がるとメダカも水面を泳ぎます。これはエサが欲しいサインでもあります。14時頃までは軽く、いつもの半分程度のエサを与えて下さい。これにより冬越しの栄養不足を補えますので、春の立ち上がりが早くなりますし、産卵も早めに始まります。
メダカにとってエサはとても大事です。メダカが元気に育ち、子孫が残せるように管理してあげましょう。
メダカの水交換について
メダカ飼育について質問を受ける中で、水交換のタイミングを聞かれることが多くあります。これについては有名ブリーダー達はそれぞれのタイミングがあると思います。
替えすぎてもダメ、替えなさ過ぎてもダメ、私はすべてメダカが教えてくれていると思います。私のタイミングはエサをあげた時のエサの食い付きや食べる量の変化を重要にしています。この方法ですと水槽によっては水質が安定するので、1か月~2か月水を交換しない事もあるほどです。また逆に1週間程で、替える時も出てきます。目視でキレイな状態で通常は水替えなど必要ないような水でも、この時に替えておかないと後に病気が発生することがほとんどです。水を替えた直後、すべてのメダカが餌の食いが良くなり、産卵も順調になるはずなのに、同じ環境、隣同士、同じ匹数の飼育でも容器により水質がダメになる事があります。 そういった事がメダカ飼育にはありますので、必ず1週毎に水交換と言うのも間違ってはおりませんが、飼育者それぞれのタイミングを見つける事がメダカ飼育上達の肝になるのではと考えます。 少し水が悪そうだなと肌感覚で分かるようになるとその時がそのタイミングとわかるようになります。
もちろん品種によっても交換時期はかわります。
体外光やラメのメダカですと、極力きれいな水で、よく日に当てる、または明るい飼育用のライトを使うと、体外光やラメが体に乗りやすくなります。なぜかと言いますと、目に反射した太陽光やライトを当てることによりその表現が出やすくなると言うことです。ここに根拠はありませんが、私の経験上暗い環境で育てたメダカと上記の環境で育てたメダカでは同じ親から生まれたとは思えない程体外光、ラメに差がつく事がありました。ですので、早め早めの交換によりメダカの特徴を出現しやすくする為の交換方法です。
これは飼育の為の水交換と観賞魚として仕上げるための水交換の違いでもあります。
最初にメダカ飼育にチャレンジする方も是非こういった水交換の方法もあると言うことを頭の片隅においてメダカ飼育をしてもらうと、今までに分からなかった水交換のタイミングを掴むのも早く見つけられると思います。もちろん日の当たり方や水草の有無、与えているメダカのエサの成分、水道水、井戸水、水槽の大きさ水量と等必ず同じ環境で皆が飼育できている訳ではありません。でもすべてはそこで生活しているメダカが教えてくれます。
病気が怖かったり、水質悪化を防ぐために頻繁に水を替えてしまおうと考える方もおられるかもしれませんが、あまり替えすぎてしまいますと、メダカにストレスを与えてしまったり、飼育者を怖がってしまったり、粘膜が剥がれてしまい、それにより発病してしまうので、気を付けましょう。
また稚魚の水交換は親魚よりもより繊細な作業となります。特に稚魚はまだ骨も柔らかく強く網で掬ったりすると、そのせいで体が曲がってしまいます。それ以前に水を替えると死んでしまうかもしれないと中々水を替えることに躊躇を覚える方も少なくないのではないでしょうか。しかし稚魚も毎日の給餌による水質悪化のせいで弱ってしまったり、病気になります。これを防ぐためにも是非稚魚の水交換もしてあげましょう。1mm目の網であればゆっくり掬い、ゆっくり同じ水温の水に戻せば問題ありません。それでも心配な場合はレンゲ等で少量の水と共に稚魚を移動させましょう。稚魚も親魚と同じく新鮮な水になると良くエサを食べるようになり、成長も早まります。また水量も多めにしてよく日の当たる場所においてあげると、さらに成長を促進させられます。孵化後~1cm程のサイズになるまでが一番心配な時期です。このような方法により早く成長をさせ、1匹でも多くの稚魚が多く成長できるように環境を整えましょう。
青水は稚魚の育成に適した水ですが、使い続けているとバランスが崩れ、水質悪化、病気の原因となります。程よい青水の維持と、水交換を用いてください。
飼育水の管理こそがメダカの管理と言っても過言ではないでしょう。メダカの成長はもちろん、産卵繁殖に至るすべては水の管理次第です。良い水を作り、良いメダカを育てるように頑張りましょう。
メダカの病気の話
メダカは強い、だれでも飼育しやすいと言われます。確かに日本の環境にも順応できており、夏の暑さの高水温、冬の寒さの氷の下でも問題なく飼育できます。とは言え実際飼育し、繁殖となると中々上手くいかない、メダカが死んでしまうと、良く相談を受けます。産卵が無い場合は栄養不足や日照不足、オスとメスの相性などが考えられます。メダカが死んでしまう時、これには飼育に慣れている人でないとその原因がはっきりとわからない事が多く、意外とメダカは病気になりやすいと言う大前提の上、日々の観察の中に注意して行く事がとても大事なポイント言えます。
特にメダカがかかりやすい病気があります。代表的な3つの病気について、その症状、治療法などの説明をさせて頂きます。
白点病
初期の症状としましては、メダカが体をクネクネさせたり、水槽の横や底に体を擦りつけ、まるで痒くて体を書いている様な行動をとり始めます。中々気づかず重症化してしまうと、メダカのヒレや体に小さな白い点状が出てしまいます。
その原因は温度変化によるもので、季節のかわり目に急に寒くなったり、急に熱くなったりすることで、急激な水温変化がおきて、発症します。暑かった日に夕立で雨水が大量に入ってしまったり、水を替えた時に水温合わせを怠ると白点病にかかります。
もしこのようなメダカを発見した時には、すぐに治療を開始してください。市販の治療薬を規定量入れ、できれば水温の保持もしましょう。治療の時は水温が高い方が効果的です。おおよそ1週間程で回復できる事が多いです。とは言え発見が遅れてしまいますと、残念な結果になる事もあります。
水カビ病
初期の症状としましては、体に傷ができて、その場所が血がにじんだように赤くなります。そこから菌が繁殖して、体やヒレに白い綿の様な物が現れてきます。食欲もなくなり、上手く泳げない様になり、水面近くでじっとして動かない様になります。原因としましては水交換時の網による擦れ、過密飼育によるメダカ同士の体の擦れ、不意に容器や底砂などに体をぶつけた擦れなどが考えられます。
この病気他のメダカにも移りますので、隔離をして下さい。市販の治療薬を用いて治療しますが、豆に水も替え、細菌が繁殖しないように気を付けてください。治療中の給餌も止めてください。治療が進むとわた状の細菌がメダカから剥がれるように取れていきます。メダカの負担が無いようであれば、ピンセットなどでわた状の細菌を剥がしても結構です。早期の発見、治療が大事ですが、特に水を替える時に網で掬う時にはやさしくメダカを移動するように心がけてください。
尾ぐされ病
初期症状としましては、尾が細くなりいつもより閉じたイメージとなります。上見ではエサもよく食べ、元気に泳いでいるメダカでも、横見をすると気づく事が多い病気です。その為発見が遅れやすいですが、給餌の際にいつもより少し餌の食い付きが遅かったり、観察していると泳ぎに少し違和感を覚えます。原因としましては水質悪化です。尾鰭だけでは他のヒレにも症状が出ますが、ひどくなるとヒレが溶けてしまいます。予防としましては定期的な水交換が最適です。しかし水温が高い時期や餌のあげすぎなどでは思ったよりも水質悪化が早まりますので、注意して下さい。
治療方法としては、症状が出ていないメダカとは隔離して市販の治療薬での治療となります。この菌は繁殖力が強いので、治療中も豆に水を替えてください。
症状が出ていないメダカにも今後症状が出ることがあります。病気のメダカがいた容器は水を替え、念のため容器もきれいに洗って注意深く症状が出ていなかったメダカの観察も続けてください。
薬浴中のメダカには軽くエアレーションをかけてあげると症状のおさまりも早くなります。
すべてのメダカの病気に言えることは、季節の変わり目、新規の導入時の水合わせ温度合わせ、水交換時の網の使い方。水質悪化の予防、極端な餌のあげすぎにより発病してしまいます。メダカは病気になりやすので、しっかりとそのポイントをおさえ!元気にメダカが生活できるようにしてあげましょう。
記事監修 花小屋 店主 戸松具視さん