「アクアぴあ」はアクアリウム・熱帯魚初心者を応援する”#水槽のある暮らし”がテーマの総合情報メディア

魚の病気の話…その1 病気の主な原因と準備編

原因がわからないんですけど、金魚がたてつづきに死んでしまいました。薬も使ってみたんですけど、やっぱりお魚飼育って難しいですね…(涙)

かなこさん

AQUAさん

そうですか、、、それはかわいそうでしたね。でもかなこさん、魚がどういう時に病気になりやすいか、そんなことを知っているだけでも、対策以前の予防になると思いますよ。ちなみに今回病気になってしまった、何かのきっかけは思い当たりませんか?
子供が金魚すくいですくってきた金魚を一緒にしてから、うーーん、たぶん一週間くらいでみんな病気になってしまった気がします…

かなこさん

AQUAさん

わかりました。じゃあ、ちょっと魚の病気の話、詳しくしていきましょう。

魚が病気になる理由

魚も人間も同様に病気になることがあります。しかし魚の場合は体も小さく、病気になってから手遅れになってしまうまでの時間はとても短く、治療できる範囲も限られます。なので、何よりも「病気にさせないこと」が大切です。学校や職場で風邪が流行した時に風邪をひく人とひかない人がいるように、同じ水槽でも病気にかかる魚とそうでない魚がいます。その差は「抵抗力」。抵抗力が低い、つまり弱っている魚は病気にかかりやすいといえます。

また、水槽内で魚が罹る病気の多くがウィルスや菌、微生物により他の魚にも感染していきます。ですので、病気を見つけた際は水槽まるごと治療の対象にするか、病気の魚を隔離するかを選択します。病気対策のためのグッズを日頃から少しだけ用意しておくと安心です。
病気の中には感染はしなくても、ほとんど治癒の見込みがない病気もあります。もともと魚自身がもっていた先天性のものだったり、繁殖を続ける中で遺伝的な問題で起こることもあるので、残念ですが時には諦めも必要です。

要注意その1 新しく魚を追加するとき

病気のきっかけの多くが「飼い始めて2週間」とか「新しい魚を加えたあと」というタイミングです。その理由は、外から入ってきた魚が病気を持っている、魚と一緒に運ばれてきた水に病原菌がいる、といったことがあるからです。しっかりと管理された熱帯魚ショップでは、お店に入荷した魚をすぐには出荷せず、一定期間病気が出ないかを確認してから販売するところもあります。そうしたお店だったら安心です。

しかし、例えば金魚すくいの金魚は、ただでさえ狭くて浅いところにたくさん入れられ、強いストレスで弱りきった状態でおうちに来る場合がほとんど。そこに病原菌があったりすれば、すぐに病気になってしまい、他の魚も感染させてしまうことがあります。金魚すくいの金魚を水槽に入れるときは、少しだけ手順を踏んで、病気にならない状態にしてから水槽に入れるようにしたほうが安心です。

要注意その2 冬場と季節の変わり目

季節の変わり目は病気になりやすいのは事実。その理由は「室温の変化」です。30℃を超えるような暑さでは病気ではなく他の要因で弱ってしまいますが、魚は一般的には暑さよりも寒さで抵抗力を落とします。魚は変温動物なので周囲の温度により食欲が増したり、食べなくなったりします。例えば、特に金魚などでは、食欲のある冬の日中温かい時に食べたエサが、夜急激に水温が下がり魚自身の代謝(消化など)が落ち、お腹の中でエサが腐敗する、消化不良を起こす、ということはよく起こります。
お部屋の中の室温は昼と夜中では大きく変わります。そして水槽は常に水が循環し水温はどこでも一緒なので、魚たちは適温の場所を探すこともできません。ですのでこのサイトでは熱帯魚だけでなく、すべてのお魚たちに保温ヒーターの使用を推奨しています。

要注意その3 酸素不足による酸欠状態

魚は水中の酸素で呼吸をしていますので、その酸素が不足すると呼吸ができなくなります。水中に溶け込む酸素の量は限りがあるので、魚が多ければ多いほど酸素は奪い合いになります。魚たちは酸素が足りなくなってくると、体内での酸素の消費を抑えるために活動量は低下し、結果的に抵抗力を落とします。「鼻上げ」と言われる、魚が水面近くまで浮かび、空気中から直接空気をする動作をしていたら、水槽内の参加は完全に不足してる状態です。エサがほしい場合に同様の動作をすることがありますが、それを見極めるのは「魚に元気があるかどうか」です。

水中に溶け込む酸素の量は水温と反比例します。水温が高いと水中に溶け込む酸素量は低下します。夏場、水温上昇で魚が弱る原因は温度が高いからだけではなく、酸素量が足りなくなるからです。それを最も効果的に対処する方法は、エアポンプで酸素を供給することです。
水槽内に泳がせる適正な魚の数を考えるとともに、酸欠にならないようにろ過フィルターやエアポンプの使用すればこの問題はほとんど起こりません。酸素がたっぷりある水槽は魚含めてすべての生物にとって快適な環境といえます。

要注意4 飼育水の汚れ・水質の悪化

「水槽が汚い」という状態の表現は難しいものです。たとえば、緑色に染まった水槽でも魚にとっては非常に好環境であることもあります。また、一見、コケもなくきれいな水槽でも実は魚には「汚れた環境」であることもあります。魚にとって「汚れた環境」は魚が弱る原因になるので病気に結びつきます。では、その「差」はどこになるのでしょうか。

その差の一つの目安は適切な頻度で水換えがされているかどうか、です。水換えをほとんどせずに魚にとっての好環境を維持するスーパーアクアリストもいますが、私たちには普通はムリです。水換えが適切な頻度で行われない場合、水質にはある変化がおきます。それは「pHの低下」です。飼育水に溶け込んでいる様々な物質のほとんどは、飼育水が蒸発しても水中に残り続けます。アンモニアや亜硝酸などはろ過バクテリアの連鎖で変化していきますが、最終的には「古い水を新しい水と入れ替え」をしないと、水質(pH)に悪影響を与えます。

ほとんどの魚たちは中性、pH7.0近辺の水質で暮らすことができます。極端にアルカリ性だったり、酸性だったりする水質を好む魚種は本当にごく一部です。そうした熱帯魚たちも現在では繁殖により生まれたものが多く、偏った水質でなくても飼育しやすくなっています。

水質チェックなどの方法もありますが、まずは定期的な水換え。これが見た目も、魚にとっても快適な水槽環境維持のポイントです。

病気に備えて…「これを用意してあれば安心!」

AQUAさん

いくら予防しても病気は防げないことがあります。そんなとき、これを用意しておけば安心、というグッズたちを紹介します!

魚の病気発生に備えて準備しておこう!

1,小型の容器or水槽
→病気になった魚、怪しい魚を隔離します。大きい魚の場合は水槽でそのまま治療したほうがいいかも。。
2,小型容器用の保温ヒーター
→魚は保温状態のほうがむだな体力を使わず、治療もしやすくなります。多くの病原菌も保温下のほうが活動が鈍くなります
3,容器を囲むもの
→暗く静かな環境で治療できます
4,魚病薬
→メチレンブルー系の薬があればとりあえずは安心。
5,エアポンプ
→酸欠を防ぐために使いますが、あまり水流が起きないように、エアーの量を絞って使います。※二股分岐などがあると便利

隔離治療の仕方

小型容器にエアポンプ、保温ヒーターをセットして、水槽の飼育水、薬を適量入れます。病気の魚、怪しい魚をそっと放します。ろ過器は使わなくて大丈夫です。通常は2~3日の隔離で、消化不良を防ぐためにエサも与えません。その間に水換えもしません。隔離後は隔離水槽の水は水槽に入れず、魚だけを網ですくって水槽に戻します。水槽の水温と隔離水槽の水温に差がないように調整しておきます。

AQUAさん

隔離治療は病気の魚のためでもあるし、他の水槽の魚のためでもあります。これで絶対に治るわけではないので、その点はご理解くださいね。金魚すくいで連れてきた金魚も、水槽に入れる前に一度隔離しておくと安心ですよ。

病気の種類と治療法、治癒の現実 を読む